樹種による耐久性

家が危ない写真は、あんしんネットワークさんと林材新聞社さんが共同で発行している「アネシス」という刊行物に掲載されていたものです。写っている4種類の木は、左からヒノキ、スギ、ベイツガ、ホワイトウッドで、暴露試験を開始してから4年半後の状態だそうです。木材の種類によって随分と耐久性に差が出ていますね。永い間住まう家だからこそ、耐久性の高い樹種を選びたいものです。

樹種による耐久性

上からの荷重集成材、無垢材、それぞれにメリット、デメリットがあります。集成材の優れた点は、収縮や変形などの可能性が極めて少ないということです。また、太い梁などは無垢材に比べて乾燥状態も均一(無垢材の場合太いほど乾燥は難しい)ですし、コスト的なメリットもあります。そういう点では極めて使いやすい木材といえるでしょう。

一方、接着剤によって貼り合せていますので、接着部分が剥離しないのかという不安を完全には拭えないということも挙げられます。

接着方向に対して垂直に荷重を受ける梁などの横架材(構造の骨組みのうちで水平方向に架けわたされた部材の総称)はさほど心配はないと思いますが、接着方向に対して上からの鉛直荷重を受ける柱(縦架材とは言いません)には、住宅に求められる何十年という耐久期間を接着剤が耐えられるのか多少なりとも疑問は残ります。

木材の水分について

木材の水分木には親水性があって水分を含んでいます。そして、その水分は自由水(遊離水)と結合水と呼ばれる2種類から成っています。自由水は木の細胞の隙間に入っている水で、木材の特性にはほとんど関係ありません。結合水は正に木材としっかり結びついているので木材の特性と大いに関わっています。

実は、この水分の出入りが木材を伸縮させたり変形させたりするのです。自生中の木は自由水と結合水をたっぷり含んでいますが、伐採すると先に自由水が減少していきます。
しかし、自由水が減少しても木材の重量が軽くなるだけで、寸法変化は起きません。その後も乾燥が進み、自由水がなくなって結合水が減少しはじめます。

そして、ここから木材の寸法変化が起こってきます。つまり、収縮が始まるのです。この時、木材の中の含水率がまだ高い状態だと、表面だけが寸法変化を起こし、割れやすくなってしまいます。

樹種によって違いはありますがおおまかに含水率30%以下が、結合水の領域です。木材の強度変化が起こるのもこの結合水の領域です。
含水率30%を切ってさらに乾燥が進むに連れ、強度も増していきます。

木材の含水率について

一般的には100gの中に10gの水分があれば10%ということになりますが、木材の含水率はそうではないのです。木材の場合は完全に乾燥しきった状態を100とし、そこに水分が10加わった状態を10%と表現します。

ですから、木材そのものと水分とが半々の場合は50%ではなく含水率100%ということになります。また、水分が木材そのものの2倍含まれているものは、含水率200%ということになるのです。例えば伐採直後の杉の生材は含水率が200%を超える場合がほとんどです。

木材の含水率

木材の平衡含水率について

木材を一定の温度と湿度の中に保管しておくと、含水率はある一定のところで落ち着きます。これを平衡含水率といい、温度と湿度により平衡含水率の値は変わります。これはいいかえれば木材の調湿作用であり、湿度が高くなると水分を吸い、乾くと水分を放出するということなのです。

日本で使用されている建築木材の場合は、含水率15%程度で平衡状態になるといわれています。そのあたりを基に、湿気の多いときには含水率が上がり、乾いたときには含水率が下がるということを繰り返しているわけです。

木材の腐朽菌について

木が腐るのは腐朽菌の仕業です。腐朽菌が生育するためには、酸素、適度な水分、適当な温度、養分の4つの条件が必要で、そのうちのどれかが欠けても腐朽は起こりません。この中で木材の腐朽を防ぐためには、何が重要なのでしょうか。

酸素を絶ったり温度を操作することは難しいでしょう。養分については、木そのものがそうなるので不可能です。ですから、水分の管理が唯一できることであり、木材の腐朽を抑制する最大のポイントなのです。含水率でいえば、20%以下ならまず腐ることはありません。

つまり、一般的に平衡状態とされる含水率15%前後の木材であれば、かなり伸縮は少ないといってよいでしょう。そして、含水率15%程度を維持出来れば、腐朽も防げるでしょう。
だから私たちが使用する柱は「含水率15%程度」なのです!
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